光を放つ石 (5) – 宝石の王様・権力の象徴としてのダイヤモンド

ダイヤモンドが権力のある人間が身につけるものとして認識されるようになったのは1600年代にルイ14世が在位した頃、研磨技術が開発されてからだ。1600年代後期には、既にダイヤモンドはヨーロッパの裕福な貴族や権力のある者の地位を承認する象徴となっていた。

ルイ14世自身、芸術を好んでおり、ヨーロッパで手に入れられる最高の宝石を収集し、1669年には112カラットもあるブルーのダイヤモンドを手に入れている。

王侯などの権力者達はその威光を示すものとして「所有者の成功と権力の象徴」「成功のシンボル」としてのダイヤモンドをあしらった王冠や王笏(しゃく)を身につけるようになった。

有名なものにギリスのエリザベス女王のダイヤモンドを2868個使用した王冠がある。この王冠は中央に317.4カラットのダイヤが埋め込まれている。

また、イギリスにはさらに大きい530.2カラットのダイヤが飾られた王笏(しゃく)が保存されている。

どちらも史上最大といわれるカリナン原石(3106カラット)を砕いた石を使用しており、ダイヤモンドの何ものにも負けない強さを秘めた輝きと気品高い煌めきが、身分の高い人物をますます高みへと誘(いざな)う雰囲気を醸し出している。