江戸時代の生活と光15─浮世絵に見る光の表現法[太陽]


浮世絵において太陽の光が表現された作品を取り上げてみる。

この作品は、歌川広重「江戸名所 洲崎はつ日の出」である。

お正月に初日の出を見に来た人々の情景であり、洲埼は現在の江東区木場である。当時洲埼は初日の出を拝むことができる有名な名所であった。海から見え始めた太陽の光が雪景色を白く照らし穏やかな元旦の朝の雰囲気が感じられる絵である。

この作品は 歌川国芳「東都名所 洲崎初日出の図」である。

堤防から2人の女性が朝日を眺めている情景。朝日の光が海に放射線状に差して静かだが力強い光であることを感じさせる。

この作品は 歌川国貞「二見浦曙の図」である。

三重県伊勢市にある二見浦(ふたみがうら)の夫婦岩に朝日が差し込む様子を描いている。朝日の光がグラデーションで描かれた空と海に広がり、辺りを明るくして神々しい雰囲気が生まれている。

この作品は 葛飾北斎 「富獄百景」より「鏡台不二」である。

現代では「ダイアモンド富士」と呼ばれる現象を描いている。まばゆいばかりの太陽光が富士山の頂上から差して太陽の光の華やかさと強いエネルギーが感じられる作品である。

以上いくつか太陽光が描かれた浮世絵を挙げたが、月や星に比べて太陽の光はその強い光のために浮世絵ではくっきりとした光線として表現されていることが多い。

参考資料:太田記念美術館 https://otakinen-museum.note.jp/n/n19544848f71a