日本のステンドグラスの歴史 (2)

大正初期から昭和初期には洋風住宅の普及とともにステンドグラスの需要が増え、技術的、芸術的に素晴らしい多くの作品が生まれた。
この時期の見事な作品の代表は1936年に建てられた、近代建築の最高峰と言われる国会議事堂内のステンドグラスである。日本のステンドグラスとしては最大規模の作品で東京の複数の工房が分担して製作したものである。

その中で目をひく作品のひとつは参議院議会場の天井の天窓である。唐草(からくさ)模様を配したステンドグラスの天窓で方形に広がっている。その統制のとれた美しいデザインのステンドグラスから降り注ぐ光は、ゆるぎない品格を持つ会議場内を格調高い雰囲気で満たしている。

その後日本ではドイツ式のステンドグラスは建築用のガラスとして発展し、アメリカ式のステンドグラスはランプやスタンドなどインテリアに利用されて発展していく。

現在では約300のステンドグラス工房が存在し、味わいのある作品を生み出している。その多くは、ランプの傘などインテリア製品であるが、手作りの良さを求める人たちによってステンドグラス製作をする教室なども盛んに開かれているようである。

日本のステンドグラスには、古くから日本の風土、生活、季節などを題材にした日本独特のものも多く、繊細な日本人の感覚によって生まれた美しい作品が多い。西洋のものとはデザインも色合いも違って、日本人の心の風景を移したかのようなものが多くその繊細さは光によってさらに際立って見える。

もしあなたがステンドグラスのある建物やインテリアに出会った時は、ステンドグラスから通して見える色の光とガラスの表情に目を向けてみてはいかがだろうか。

透過光が持つやさしい光の表情は心に安らぎと潤いを与えてくれることだろう。
 
 
photo by New York Minute