デジタライゼーションと光─Li Fi(3)

前回に引き続きLiFiはどのような場所で有効に利用できるのかをみてみる。

・自動車
自動車のライトにLiFiを導入することで多くのメリットが生まれる。
光を使っているため、電波より遅延が少なく、車同士で通信することで車間距離を察知し、加減速の調整が可能となる。また、路側機や信号機、外灯から走行中の車へ、現在の道路状況Pに関する情報を提供することも可能となる。車がリアルタイムで交通情報を受信することで、渋滞の緩和や安全性の向上につながる。※1
また、自動車のスマートキーも Li-Fiに変えることで、電波を傍受して車を盗まれることを防ぐことも可能ではないかといわれている。

・水中
現在、海中では音波による音響通信が主に使用されている。海水中では電波の減衰が大きく、音波の方が効率よく通信できるからである。しかし音響通信の通信速度は10kビット/秒程度と低速なうえ、反射や屈折の影響で音が届きにくい領域があるといった短所がある。

LiFiは海水塩分の濃度による減衰はほとんどなく、音波よりも安定しており、かつ高速な水中通信媒体となるのではないかと期待されている。 LiFiによる光波の届く距離は約200mと言われており、ダイバー同士の通信も可能である。また、海中での高速通信が可能になれば、深海を探索する無人の潜水艇や水中ドローンからの映像をリアルタイムに船上で観測でき、未知の世界と言われる深海の解明に役立つ可能性がある。※2

太陽光発電や波のエネルギーを利用し365日24時間休みなしに海中を観測し続ける海洋探索ロボット同士が可視光通信で連携したり、海面をまたいだ空中のドローンと海中のドローンとが連携できるようになれば、気象衛星から見た空からの情報だけでなく海からの情報も気象予測に活かすことができるようになる。

・ロボット
屋内の様々な場所で活躍するロボットなどにも適用できる。ロボットの自律走行のために位置情報を活用するだけでなく、階段の場所などをLED照明で知らせれば、危険を回避できる。

※1 Wi-Fiの100倍速い! LED照明の光で無線通信できるLi-Fiとは. パーソナルテクノロジースタッフ. https://persol-tech-s.co.jp/hatalabo/mono_engineer/503.html
※2 専用の受発光システムの活用で可能になる高速通信サービス. 日経BP. https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/mirai/h_vol28/?P=2