低炭素社会に向けて1─序章

地球が誕生したのは今から約46億年前である。そして最初の生命が誕生したのが約38億年前、そして約35億年前には光合成を行うラン藻が登場し酸素の放出を始め、酸素を利用した呼吸をする微生物が誕生した。

藻類の活発な光合成により大気中の酸素量が増えてくると高度約20~50kmの領域でオゾン層が形成されて生物に有害な紫外線はそこに吸収されるようになった。こうして生物が地上でも安全に生活できる環境が長い年月をかけて作られた。

人類の祖先は約700万年前に誕生し、そして10万年前に現在の人類であるホモサピエンスが誕生する。人類は主に狩猟生活を営んでいたが、1万年ほど前になると農業を始め、農業が効率的になっていくに従い、文明が登場することになる。

約500年前、科学革命が起こる。そして数学、物理学、天文学、生物学、化学といった学問が、それまで人類が知っていた知識をすべて塗り替えていった。そしてコンピューターやインターネットが一般的になったのはここ数十年間のことである。

私達人間は豊かな地球の自然と共生しながらより良い生活を求めて文明を発達させてきた。
しかし今、便利な生活を手に入れた一方、自らの手でこの地球環境を破壊し始めている。その環境破壊とは近年、問題となっている温室効果ガスによる地球の温暖化である。地球の温暖化によって世界中に多くの問題が生じており、世界全体で対策を練り実行していくことが急務となっている。

現代のような生活形式になってからの生活は、人類史全体からみると0.001%以下という短い期間であり、地球の歴史からみるとさらに短い期間となる。この短い期間で私達人間は地球環境を温暖化により破壊し、将来に向けて取り返しのつかない状況を創り上げてしまおうとしているのである。

温暖化対策の中で一番大きな課題が二酸化炭素の排出量の削減であり、低炭素社会の実現こそが人類共通の目標として掲げられるべき課題である。

今回より地球の温暖化の現状を把握しながらいかに低炭素社会を実現していくか、建築、照明の側面からの取り組みや提言について記していきたい。