低炭素社会に向けて5─日本の温暖化の影響

日本における温暖化の影響を以下に記す。

●気温の上昇
日最高気温が35℃以上(猛暑日)の日数は統計期間1931~2015年で増加している。また日最低気温が0℃未満(冬日)の日数は、同期間で減少しており、日最低気温が25℃(熱帯夜)の日数は同期間で増加している。

高温の日が増加し近年熱中症を発症する人や死亡者数が増加傾向にある。
平成30年7月、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、同月の熱中症による死亡者数は1000人を超えた。これは、平成22年8月の765人を遥かに超えて、熱中症による月別の死亡者数としては過去最多となった。今のペースで温暖化が進むと20世紀半ばには熱中症搬送者数が全国的にさらに増加し、東日本以北で2倍以上になると予測されている。

●大雨が増加
日降水量100mm、200mmの年間日数は1901~2015年の15年間で増加している。大雨の頻度が増加する半面、年間降水日数は減少し、毎年のように渇水が発生している。豪雨により土砂災害も増加している。平成18年から平成27年までの過去10年間の土砂災害発生件数平均して1年間におよそ1000件となっている。

●日本近海の海面水温上昇
日本近海の各海域の海面水温は上昇しており、2015年までの日本近海の海域平均海面水温(年平均)の上昇率は100年で1.07℃上昇している。これは世界全体で平均した海面水温の上昇率0.52℃よりも大きく、日本の気温の上昇率1.19℃と同程度となっている。
魚は、その種に適した水温の海域に集まるため、水温の変化は、魚の分布に大きな影響を与える。例えば、温暖な海を好むサワラは、漁獲量が増加し、スルメイカ漁獲量は減少している。

●農作物への影響
水稲の品質の低下リンゴやブドウの着色不良、温州みかんの日焼けや浮皮、日本梨の発芽不良など様々な影響が出ている。

●自然生態系への影響
桜開花日の早期化、ニホンライチョウの生息域減少、個体数減少、サンゴの白化増加、ブナ林の衰退、などの現象が起きている。

このような地球温暖化の問題に対して世界各国との協力体制を構築し、低炭素社会への取り組みを進める動きをより活発にしていくことが求められている。