マインドフルネスと光6─マインドフルネスをめぐる動き


近年職場におけるメンタルヘルス対策は重要なものとなっており、その対策としてマインドフルネスを活用する動きが広がっている。

ビルやオフィスなどの空間を「人間の健康」の視点で評価・認証する「WELL認証」でもメンタルヘルスケアを重要視し、「心(Mind)」という項目を設けて様々な提案をしている。その中でストレス管理としてマインドフルネストレーニングを推奨し、従業員に向けた継続的なプログラムとして実行することとしている。※1

また、精神的疲労やストレスからの回復と軽減を促進するための空間の利用を支援するようにとしている。その中で回復空間は瞑想、リラクゼーション、回復専用の空間とすることとし、照明は調光可能なものとし、温熱快適性や視覚的なプライバシーなどの配慮を求めている。WELL認証ではメンタルヘルスを考える上でマインドフルネスが非常に重要視されていることが伺える。

2007年にアメリカのグーグル社がマインドフルネスに基づくカリキュラム「Search Insider Yourself(SIY)」を開発し、研修後の成果などをまとめた本を出版し、ベストセラーになった。その影響でフェイスブックなどの従業員の創造性をコアバリューとする新興IT企業を中心にマインドフルネスが普及していった。

2012年にはダボス会議においてマインドフルネスが紹介され、それ以後もセッションが開催されて好評を得ている。※2 2020年には国連がテレワーク中の国連職員に向けたコロナ禍でのストレスマネジメントとしてマインドフルネスを推奨して話題になった。※3

日本国内では最近になってマインドフルネスの研修を行う企業が増加しており、経済産業省が実施する「健康経営度調査」では2019年度から「マインドフルネスなどの実践支援」の項目が追加されている。※4

ヤフー株式会社では2016年からグーグルの「SIY」を基本として作成したトレーニングを社内で実施し、その結果業務パフォーマンスが非常に向上したという高い効果を確認している。※5

また、自治体の取り組みとして福岡市ではまちづくりプロジェクトの一環として市内の医療・福祉関係事業者の従業員を対象にマインドフルネスプログラムを提供している。※6

瞑想用の空間を社内に設置したり瞑想スタジオ事業の展開を始めた企業もあり、今後、不透明な時代に生きる私たちのメンタルヘルスを考える上でマインドフルネスは重要な要素となっていく流れは加速していくことだろう。

※1 WELLv2パイロット版 well-building-standard-v2-1-jp.pdf (storyblok.com)
※2 2015年ダボス会議より https://mindful-leadership.jp/test/blog/1181.html
※3 国連がテレワーク中の職員へマインドフルネス推奨メッセージ https://hitosizuku.com/mindfulness-2/
※4 健康経営度調査 2019chosahyo_sample.pdf (meti.go.jp)
※5 ヤフーが取り組むマインドフルネス研修とは https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00003/031000083/?P=1
※6 ふくおかプロジェクト https://100.city.fukuoka.lg.jp/actions/2788