光のパブリックポリシー15―高齢者と照明4


人間の視覚は加齢に伴って変化し、高齢になると以下のような症状が生じる。高齢者の視覚の特徴をみてみる。

・暗く感じたり、見えにくくなる
瞳孔があまり開かなくなり、光を取り込みづらくなり、暗い所では物が見えにくくなる。(老人性縮瞳)
水晶体が磨りガラスのようになり、物が見えずらくなり、症状が進むと白内障になる。

・眩しさを感じるようになる
白内障の濁りに強い光が乱反射することによって、眩しさを感じるようになる。そのため、集中したシャープな光や小さな面積で光るもの、輝くものを不快に感じるようになる。

・明暗順応が衰える
明るい所と暗い所の移動による目の順応が遅くなる。特に明るい所から暗い所への移動では、目が暗さに慣れるまで時間がかかる。

・色の違いが分かりにくくなる
加齢により、水晶体が褐色化(黄色化)するため、水晶体を通過する光の量が減少し、網膜に達する光量が少なくなる。網膜の細胞の感度が低下することにより色の違いを認識しにくくなり、色の鮮やかさが感じられなくなる。

上記のような視機能の衰えに対しては必要照度の確保、場所ごとの照度の差を小さくするなどの対策が必要である。また、住宅においては、身体機能の衰えも考慮し、照明器具のランプ交換や掃除がしやすいような場所に器具を設置するようにしたい。