光のパブリックポリシー10 屋外照明1


屋外照明とは、街路灯、道路灯など屋根や天井の無い開かれた場所に設置する照明である。屋外照明で重要なことは、設置する場所の周囲の環境に対して十分な配慮を行い、その環境を損なわない良好な照明環境にすることである。

良好な屋外照明環境とは、周囲の社会的状況や自然環境に基づき、適切な目的の設定と技術によって、安全性、効率性の確保と共に、景観、周辺環境への配慮などが十分になされている状況である。ゆえに、一定の基準で固定的に決まるものではなく、それぞれの場所においてまた周囲の環境によって相対的に決まるものである。

屋外照明には様々な種類があるが、それぞれその目的に応じて安全、安心、やすらぎ、楽しみなどの要素を考慮した快適な視環境を創造することが求められる。

屋外照明計画においては、まずは必要な照明条件を満たす計画を行う。そしてその目的や必要性の確認と安全性を考慮して必要照度を確保し、過剰な光の漏れを避け、周辺の光環境とバランスの取れた光環境を計画する。

また、安全性だけではなく、快適性にも配慮が必要である。設置場所に適したデザイン、色彩の照明器具を選択し、配光などの技術的な問題を考慮して快適な光環境を実現したい。

また、周辺の光環境を考慮した適切な明るさを確保したい。そして安心、安全を確保したうえでメリハリのついた明るさの配分計画を行う。明るい所から暗い所へ、またはその逆を移動する際に明暗の差が大きいと不安感、不快感を感じるため明暗差には特に注意が必要である。

屋外照明を設置する場所は、不特定多数の人が利用する場所が多いため、光源は少数の人でも不快感を感じるような極端な色彩や輝度の光は避けたい。さらに対象物が美しく見えるような演色性の高い光源であれば視環境としては理想的なものとなるだろう。

屋外照明は多くの条件、要素を考慮して、最適な照明器具を選定し、安全であると同時に、快適な視環境を実現するために、周辺の環境とバランスを取って計画する必要がある。屋外照明計画は設置場所ごとに諸条件に適応した計画が必要であり、多角的な視野や豊富な知識をもった照明デザイナーが計画することで、より良い照明環境の実現を可能とすることができると言えるのではないだろうか。

■参考文献
地域照明環境計画策定マニュアル: https://www.env.go.jp/air/life/m-syomei/index.html