テレワークと光8

新型コロナの影響で私達の生活は今まで当たり前に行っていた生活習慣の変更を余儀なくされている。そして、この新しい生活習慣のいくつかは新型コロナが落ち着いてからも私達が行っていかなければならないものになっていくだろうと言われている。
また、テレワークの普及によって働き方や住む場所を見直す動きが出ているが、この傾向は今後ますます続いていくだろう。そして育児や介護といったライフステージに応じて生活を変化させながらも仕事を続けていくことが可能な社会となっていくだろう。
この社会状況の中で、今までは会社の立地に縛られて決められてきた私達の生活の器である住まいの在り方に多くの関心が集まってきている。健康で快適な住まいの環境づくりを今一度見直す人々が増えているのである。
テレワークでの環境づくりの中で健康や活動の効率性に大きな影響を与える光は重要な要素となっており、光環境を工夫することで生活を快適なものとすることができる。

テレワーク経験者の多くがONOFFの切り替えが難しいと感じているという。※1住まいの照明の光を変化させることで雰囲気を変えて仕事と休息のONOFFの切り替えを行うことができる。例えば居間で仕事を行う場合、作業中は効率を上げるための高い色温度の照明の光とし、仕事が終了してからは、休息の光に相応しい照明の光とすることで同じ空間にいてもシーンに応じた環境づくりができる。各シーンを光で演出して、快適で豊かな生活を送ることに繋げたい。

また、新型コロナ感染予防のための外出自粛要請で多くの人が自宅で長く過ごす状況になっている。そして一日中家の中で過ごすことでサーカディアンリズムの乱れが起きやすくなっている。人間のサーカディアンリズムを整えるためには、朝起床したあと太陽光を浴びることや照明の調整が効果がある。

朝光を浴びることでセロトニンが分泌されて覚醒し、快適な一日のスタートを切ることができ、夜には質の良い睡眠を促すメラトニンの分泌を促すことが出来る。朝、窓のカーテンを開けて太陽光を浴び、昼間は活動的な光である色温度の高い光の照明、夜間は休息を得るための色温度の低い光の照明のもとで過ごすことを意識して暮らしたい。そうすることでサーカディアンリズムを整えることができ、快適な生活を送ることができる。タイマー式電動カーテンや照明をタイマーで調整してみるのも良い方法である。

日光浴は骨の生成に重要なビタミンDを皮膚に育成することができ、また、セロトニンを分泌して睡眠に関係のあるメラトニン分泌を促す働きもする。適度な日光浴の機会は是非設けたいものである。

光は一日の生活リズムを整え、わたしたちの健康に深く関わっている。ALGは照明デザイナーとしてその理解を広め、光の効果を生かせる生活様式を提案していきたいと考える。

 
※1 働き方改革実行計画(抄)-雇用型テレワーク-(厚生省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000189091_1.pdf