視覚と光9─色覚異常(1)

物を正常にみるためには、視力・視野・色覚の三つの機能が必要だが、色覚異常とはこの三つの機能のうち、色覚に異常がある状態である。
色覚異常は正常とされる他の大勢の人とは色が異なって見えてしまう・感じてしまう状態であり、色の区別がつきにくいために、日常生活に支障をきたしてしまう可能性がある。
先天性色覚異常者は日本では男性の20人に1人(5%)、日本人女性の500人に1人(0.2%)であり、北欧では男性は約10%、女性は約0.5%いると言われている。2)

色覚障害については、1600年ごろから認識されるようになった。色覚異常は生まれつき視細胞に支障がある先天色覚異常と加齢などによる後天色覚異常がある。

先天色覚異常は遺伝的なものであり、後天色覚異常は眼疾患の一つの症状として起こる。
色を感じとる視細胞は、赤に敏感なタイプ、緑に敏感なタイプ、青に敏感なタイプの3種類がある。色覚の異常は、この3種類の視細胞のうちのどれかが足りなかったり、十分機能しないために起こる。3種類の視細胞のうち、どれか一つが欠けている場合を2色覚(いわゆる色盲)という。

先天色覚異常者の約75%は緑を感じるM錐体が正常に機能しない第2色盲タイプである。このタイプは赤と緑、緑と茶、青と紫、オレンジと黄緑、ピンクと白、灰色、緑と灰色などが見にくい。次に多いのが赤を感じるL錐体が正常に機能しない第1色盲タイプである。このタイプは上記の色に加えて赤と黒、ピンクと水色の区別がつきにくい。

日常社会で使われているシグナルや警告サインの中には、明るさが不足してたり彩度が低く鮮やかではない色を使用したり、サインが小さい場合があり、色覚異常の方が見にくかったり色の区別が識別できないケースがあり改善が望まれる。

照明技術を利用し,特定の色,波長域の光を積極的に活用することで,色覚障害者の色認識能力を向上させる技術も,研究され考案されてきている。さらに精度を増した一般色覚者にとっても違和感の少ない色覚障がい者用照明システムの研究開発を期待したい。