「人間を照らす唯一のランプは理性であり、生の闇路を導く唯一の一本の杖は良心である。」

ハインリヒ・ハイネ(1797~1856年)はドイツの作家、詩人、文芸評論家、エッセイスト、ジャーナリストである。多くの詩集や評論を書くかたわらドイツの反動的政策を痛烈に批判する詩作品を発表し、後にパリに亡命した。愛と革命の詩人と呼ばれる。

ハイネの詩には分かりやすい通俗的な歌の要素と芸術性の比類ない調和がみられ、そこから生まれる豊かな音楽性に惹かれて多くの作曲家が詩に美しい楽曲を作曲した。ブラームス、リスト、メンデルスゾーン、シューベルト、シューマンなど著名な作曲家たちが作曲した数々の楽曲は今でも世界中の人々に愛されている。

ハイネは1797年に貧しいユダヤ人商人の子として生まれた。商業学校を経て銀行業務の見習いとなるが商人になることを諦め、法律家を目指してボン、ゲッティンゲン、ベルリンの大学で学ぶ。弁護士になる夢は果たされなかったが、30歳の時に発表した詩集「歌の本」により名声を高め、執筆活動を続ける。

40歳ごろから身体の変調を覚え、年々体調は悪化していった。脊髄病により51歳ごろからは半身が麻痺し、痛みの苦しみに打ちのめされるようになる。しかしその苦境の中でいくつもの優れた作品を晩年に相次いで完成させ、59歳でこの世を去った。

人間を照らす唯一のランプは理性であり、生の闇路を導く唯一の一本の杖は良心である。

―私達が歩む道を照らすものは物事を考える力、理性である。そしてその暗い道を歩む時に支えになるものは良心であり、私達の行動に意志を与えてくれるのである。―

この格言からは、人生に必要なものは、羅針盤のように人生で歩む方向を照らし示してくれる理性とその歩みを支え、正しいものであるかどうかを判断してくれる良心であるというハイネの人生観を受け取ることができる。そして苦境の中最後まで精いっぱい生き抜いた強いハイネの心根までも感じることができる。



ハイネ ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%8D
ハインリヒ・ハイネと1848年
https://core.ac.uk/reader/230073800