「夜毎、空には神秘な星の光が輝き、地上には正しく生きることを考え、悩みながら人間が生きている」

井上靖(1907~1991年)は小説家。現代小説、歴史小説、エッセイ、自伝的小説、シルクロード西域関連の作品、詩集などを創作し、その軌跡は「山脈」と讃えられている。多くの人気作品が映画化、ドラマ化されている。

井上靖は1907年北海道上川郡に軍医の長男として生まれた。5歳から18歳まで天城城ケ島、三島・沼津で過ごす。沼津中学時代には文学へ目覚めるきっかけとなる友人達に出会う。中学から柔道クラブに所属し、熱心に練習に励み高校では全国大会に出場した。その後柔道部を退部してから文学活動を本格化する。

その後九州大学に入学、途中退学した後、京大文学部哲学科に入学、卒業すると毎日新聞大阪本社に入社する。その後も創作活動は続け、43歳で小説「闘牛」で芥川賞を受賞する。

44歳で新聞社を退社し執筆、取材、講演に勤む生活を続け、69歳で文化勲章を受章し、83歳で急逝肺炎のため亡くなる。

夜毎、空には神秘な星の光が輝き、地上には正しく生きることを考え、悩みながら人間が生きている

―毎晩同じように空には星が神秘的な光で輝き、そして地上では人間が迷い悩みながらも己の人生を正しいものとするべく努力しながら生きている―

この格言は夜毎夜空に輝く星の光のもとで毎日繰り返される悩み多い人間の営みを温かい眼差しで捉えた言葉であり、井上のやさしさを感じることができる。

井上の作品にある巧みな構成と詩情豊かな作風は人間の本質をやさしく捉えており、これからも彼の作品は多くの人に時を超えて愛され続けていくことだろう。




・ウィキペディア
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