「建築は光を操ることで、彫刻は光と遊ぶことだ。」

アントニ・ガウディ(1852~1926年)はスペインカタルーニャ出身の建築家。曲線・曲面の多用と多彩な装飾を特色とする幻想的作風で知られる。サクラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラなどの作品群はユネスコの世界遺産に登録されている。

ガウディは1852年カタルーニャ地方に銅細工職人の子として生まれた。銅板を加工して製品にする過程を見ながら育ち、のちの建築家への素地となる立体感覚を身につけた。

幼少期はリウマチにかかり、友達と遊ぶことができずに一人で自然や生活を観察して過ごした。その体験が自然の中に最高の形があるという信念へと繋がっていく。

21歳で建築専門学校に入学し、アルバイトをしながら卒業し、26歳で建築家としての道を歩み始める。初めての仕事は「レイアール広場の街灯」であった。独特のデザインは評判となり、仕事の依頼を受けるようになる。

31歳の時に「サクラダファミリア」の専任建築家となり、以後亡くなるまでの約40年間その工事に携わることになる。サクラダファミリアはいまだ建築中であるが2026年には完成予定である。

42歳の時にそれまでの無神論者から熱心なキリスト教の信者になった。学生時代に母や兄姉を亡くしていたガウディは54歳で父を亡くし、その後姪やパトロンであり良き理解者であったエウセビ・グエルを亡くすことで深い悲しみに沈んでしまう。

晩年は孤独の中でサクラダファミリア内に住み込み、工事に専念する生活となった。73歳の時にミサに向かう途中で路面電車にひかれてしまい、その風貌から浮浪者とみなされて治療が遅れ、命を落とすことになってしまう。バルセロナの人々は彼の死を悼み、その葬列は1.5Kmにも及んだという。

建築は光を操ることで、彫刻は光と遊ぶことだ。

この言葉からガウディの設計指針を伺い知ることができる。ガウディの建築は、自然の光を最大限に生かせるように計算しつくされた構造である。

サクラダファミリアのステンドグラスから差し込む色とりどりの光は森をイメージした空間を鮮やかに時とともに光の質を変えながら演出する。また、居住空間としてのアパート建築や住宅では様々な形状の窓を設けて光を効果的に導き、空間を際立たせる光の装飾を施して空間に伊吹を与えている。

また、建築に施された彫刻はそれぞれにその形状が光を反射させたり取り込むことで陰影を生み、豊かな表情を表現しまさに光と遊んでいるかのようである。

ガウディは建築を音楽や文学、絵画や彫刻など個々の芸術が互いに高め合ってできる「総合芸術」と捉え、リズム、音楽性を建築に表現するという姿勢を持っていた。彼の生んだ建造物には時代を超えて人々に愛される魅力があり、その作品群は次の時代へと受け継がれるものとしてその存在感を示し続けていくことだろう。




・ウィキペディア
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