日本橋に根付く文化と伝統

「残しながら、蘇らせながら、創っていく」というコンセプトの元、官民連携による「日本橋再生計画」が推進されています。江戸で最も繁栄した街である日本橋は現代に至るまでの歴史を踏まえた再開発地域になっており、OVOL日本橋ビルはそんな日本橋エリアの北の玄関口である中央通り沿いに位置しています。
ALGでは、OVOL日本橋ビルを支える柱の垂直性を強調したライトアップと各フロアに流した水平な光のラインで、伝統ある日本橋の街並みに格式高く調和するような照明計画を行いました。

 

日本橋の街との調和

和の光を灯す

柱を照らす特注ブラケットライトのモチーフとして日本古来の文様「麻の葉」を採用し、伝統と親しみやすさを演出すると共に建築のアイデンティティを表現しました。麻の葉のモチーフは鋳物製とし、上質で重厚な雰囲気を醸し出しています。
モチーフの透かし模様を通した光やブラケットライト側面のライン状の光が放つ柔らかな間接光は、麻の葉のモチーフ、鋳物の素材感と共に和の雰囲気を感じさせ、日本橋の街並みに溶け込んでいます。

デザイン性と機能性を両立する

この特注ブラケットライトが照らしているのがOVOL日本橋ビルを印象付けている連続した象徴的な石の柱型です。また、同時に人通りの多い街路を照らす役割も合わせ持ち、多機能なアッパーダウンのブラケットとなっています。
柱の上部までを真っ直ぐに照らすアッパーの光はハイパワーのLEDを組み込むことで実現しています。街路を照らすダウンの光は、フロストディスクを通すことで柔らかな光となって歩行者の足元を明るく照らしています。
これらの異なった役割を持つ光を兼ね備え、さらにデザイン性も考慮された特注ブラケットライトは、モックアップでの確認と調整を経て完成いたしました。

品のある光でコーティングする

建物の外構を縦に走るライン照明の光「バーティカルライン」と、横に走る「ホリゾンタルライン」がファサードを形成し、中央通りの角地に立つOVOL日本橋ビルの輪郭を強調しています。
また、オフィス・ホテル・商業店舗といった異なる施設が入居した複合ビルの光環境を、建物の内部から外部へと作用する光「ホリゾンタルグロー」によって統一して見せています。これにより、低い色温度で統一された品のある日本橋の夜の景観に馴染むファサードライトアップとなっています。

地域に根付く文化と伝統を継承する照明計画

春、桜の季節になると、日本橋は「桜」をイメージしたライトアップとして地域全体がピンク色でライトアップされます。OVOL日本橋ビルにおいても、特注ブラケットライトの光の色を変更することで季節の演出が可能です。
街の伝統や文化を継承しながら歩みを続ける日本橋で、OVOL日本橋ビルのライトアップは建築に独自性と品格を与えています。そしてそれは中央通りに一貫性をもたらし、日本橋の都市の文脈を継承する光となっています。

OVOL日本橋ビル

設計:株式会社竹中工務店
所在地:東京都 / 日本橋室町
竣工年度:2018年

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