プロジェクトに込められた想い

SANA MANEは島の大自然をダイレクトに感じることのできるグランピングスタイルの宿泊施設です。これには、瀬戸内で生まれ育ち幼少期から島遊びを楽しんできたクライアント様自らの経験に基づいた「住民しか知らない魅力を島に訪れる方々へ伝えたい」という強い想いが込められています。
ALGではクライアント様のプロジェクトに込める想いに共鳴し、月明りや星空といった自然の輝きを最大限尊重した照明計画を行いました。これにより直島の「夜の魅力」という新たな価値を広く共有することを目指しています。

 

SANA MANEでしか味わえない時間と空間

自然環境と光環境の調和

SANA MANEは海と山に囲まれて自然を肌で感じることができ、またシークレット感のあるロケーションのため刻々と変わる空の色を感じながらゆったりとした時間を過ごすことができます。
このSANA MANE特有の自然環境と、光環境との調和を実現するため、「沈む光」「集いの光」「慈しむ光」「いざなう光」「囲む光」の5つの光の要素で照明計画を構成しました。また、無線調光システムを導入することにより、使用シーンに合わせた自由な光のコントロールを可能にしています。

 

1. 沈む光

沈みゆく夕日が地平線を線状に照らし上げる束の間の瞬間をオマージュ。上部からの指向性のある光を用いず間接照明でのライトアップをメインの手法とすることで、月や星といった自然の光の美しさの邪魔をしないように努めました。また、動線を光のラインで繋ぐことで公共スペースを創出しています。

2. 集いの光 / 3. 慈しむ光

色温度2700Kのあたたかな光の空間で、豊かな食事の時間、大切な人と過ごす思い出のひと時を演出。
器具の性能上最小値の5%まで調光し、机上面照度5lx以下の明るさとキャンドルで、瞑想空間のような雰囲気を作り出しています。

4. いざなう光 / 5. 囲む光

シンボリックにライトアップされたパームツリーと星のように点在する低いボラードで、人々をSANA MANEへ導き歓迎しています。
また、周囲の木々を照らして暗がりを無くし、光によって包み込むような安心感を与えています。

一元化された無線調光システム

ライトアップ手法のメインである間接照明には一元化された無線調光システムを導入し、自由な調光制御を可能にしています。薄暮では60%、夕食時には30%、オペレーションが終了する21 時以降は安全・管理上15%の調光シーンが組まれており、その他にも使用シーンに合わせた光を簡単にコントロールすることができます。照度を極力抑えた繊細な調光管理によって、0.2lxの月明りや夜空の輝きを尊重する適切な照度を保ち、また省エネ・持続可能性にも配慮しています。

持続的発展を続ける新しいグランピング施設のための照明計画

直島、SANA MANEの固有の光に包まれた空間は、従来のグランピング施設には見られない親密なコミュニケーションの場として機能しています。また、今までに無い、夜間でも島の自然を肌で感じる事のできる宿泊施設の誕生は、直島の「夜の魅力」という新たな価値を島民と共有する事でナイトエコノミーの強化・推進へ一石を投じています。本計画は、サウナスペースの増設や自治体と共同でのイベント開催など、今後も持続的発展を続けるSANA MANEの様々な姿に対応した照明計画となっています。

直島 SANA MANE GLAMP DOMES

施主:真田トラスト株式会社
所在地:香川 / 直島町
竣工年度:2019年

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