歯科医院の待合室・診察室の光環境4-待合室の照明

歯科医院の待合室の環境要素として照明の光は重要な要素である。

日本産業規格の照度基準によると「保険医療施設の待合室」150~300lxとなっている。また、平均演色評価指数はRa80以上が望ましいとされている。

大学生を対象にした「病院の待合室や外観の印象が病院の利用促進に及ぼす影響について」調査した結果がある。それによると利用喚起を促す物理的特性として、診察室には、中間色の壁、高さを意識させるデザイン、間接照明の使用などがあげられたという。*1

上記の物理的特性はまさに多くの患者が望む「開放感のあるリラックスして落ち着ける待合室」を実現する項目といえるだろう。

待合室の光環境は快適性を考慮して基本的には自然光が入る空間としたい。そして、照明は、自然光に準じた「太陽光スペクトル照明」とし、人間のサーカディアンリズムに沿った調光調色が可能な「サーカディアンライティングシステム」であることが望ましい。

季節、天候、時間、などに応じて照明の光を調節することで、患者が快適で居心地の良い待合室の光環境を実現することができる。

照明方法としては、空間にきめ細かくやわらかい明るさをもたらし、包み込む光で安心感を与えてくれる「間接照明」が望ましいのではないだろうか。

間接照明は、光源が直接目に入らないようにして、天井や壁面を広く照らすことで光がやわらかく、空間全体が目にやさしい雰囲気の光環境になる。また、間接照明の光により建材の質感や色味を際立たせ、奥行きを深く感じさせて空間のスケールや造形美をより強調することが可能となる。

また、照明の効果を増すためには、壁や天井の仕上げ材や色味が重要となる。光の反射率や光の伸びに大きく関係するからである。

理想とする待合室の光環境を実現するためには、照明デザイナーは意匠デザイナーなどと連携した詳細な計画を行うことが必要である。

ほかに、パソコンなど個人的な行動をする患者に対応できる個別利用のスタンド照明器具などを設置することも患者に寄り添った照明環境といえるだろう。

■参考文献

*1  病院の待合室の視覚的特性と感情的評価に関する研究