光害1 ― 序章


「光害(ひかりがい)」とは、屋外の光環境を人間が自然の状態から変化させてしまうことにより生じる、様々な影響による害を言う。日本では、光による害を1960年代後半に、アマチュア天文家が「公害」の一種と捉えて「光害」とした。その後「光害(ひかりがい)」との名称で認識されるようになっている。

2016年のイタリアの「光害科学技術研究所」の報告では、世界人口の83%が明るい人工光のもとで暮らしており、天の川を肉眼で視認できない人口は、全世界の1/3以上、欧州で60%、北米で80%、日本では70%に達してるという。*1

また、報告では、世界人口の83%、日本のほぼ全人口が、自然な状態より8%超、明るい光害状態といえる夜を過ごしていた。シンガポールでは、どこにいても目が暗さに慣れることがないほどの明るさ状態で、日本人も30%がこうした状態に置かれているという。

また、ドイツの「地球科学研究センター(GFZ)」の報告では、2011年から2022年の10年間で地球の明るさは毎年9.6%ずつ上昇しているという。そして、先進国の多くの都市でLEDへの切り替えが進んでいるが、光の総量は増える傾向にあるとしている。*2 

光熱費の削減と二酸化炭素排出量の削減につながるLEDの利用により、省エネルギー化が期待される状況の中、夜の明るさは逆に増加するという現象を引き起こしているのである。

光害の主な原因となりうる「屋外照明」に対する世界的な需要は、都市化、インフラ開発、エネルギー効率の高いソリューションへの注目度の高まりといった要因が重なり、今後ますます需要が増加し、2025 年から 2034 年まで 5 % の CAGR で成長すると予測されている。*3

光害の影響は、人間、動植物、宇宙など多くの分野で発生しており、地球環境を守り、生物を保護するために、世界レベルでの対策を行っていくことが、今、重要な課題となっている。

次回より、光害について様々な視点から現状を把握し、問題点や解決策を考察してみる。

参考資料
*1:イタリアの光害科学技術研究所(Light Pollution Science and Technology Institute)による地球上の光害の調査結果 https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.1600377

*2:ドイツ研究センターヘルムホルツ協会による報告 https://www.cnn.co.jp/fringe/35110908.html

*3:屋外照明の世界市場 https://www.gminsights.com/ja/industry-analysis/outdoor-lighting-market