歯科医院の光環境5-診察室の照明

歯科医院において診察室は、処置が行われる場所として、必要な照度を満たした上で、患者にとっては「清潔感、安心感のある快適な光環境」、医者にとっては「繊細な色判断による適格な治療が可能な光環境」であることが望まれる。

日本産業規格の照度基準によると「保険医療施設の診察室」300~750lxとなっている。また、平均演色評価指数はRa90以上が望ましいとされている。

診察室の光環境は、「口腔用照明」と「全体照明」により構成されており、口腔用照明は歯科専門の器具を設置する。

全体照明は、歯科医がセラミックの色味調整や、歯の上にのせる物と元の歯との色味調整など、自然光で判断することが理想とされる繊細な作業を行うために、「太陽光スペクトル照明」とすることが望まれる。また、一日診察室で過ごす歯科医にとって「サーカディアンライティングシステム」であることは、医者の心身の健康に貢献することとなるだろう。

診察室では患者は治療中仰向けの状態となるため、天井の素材やデザイン、全体照明には心配りが必要である。

天井は上質な仕上げにすることで患者に安心感・居心地の良さを与えることができる。また、全体照明は、天井を見た時にまぶしくないように間接照明にする、光源が直接見えないようなカバー付きの照明器具にする、などまぶしさに配慮した照明器具を設置したい。

これから始まる治療に対して緊張感に満ちている患者は、診察室に入ってから少しでもリラックスできて快適に治療を受けられるように希望している。その患者の心理に寄り添って照明デザイナーは検討と工夫を重ねて診察室の光環境の構築を目指すことが求められるのである。