ウェルビーイング6―ウェルビーイング経営1


健康維持に関して従来は、企業に勤務する従業員は主に自分自身で健康を管理するというスタイルであった。しかし、少子高齢化による労働人口の不足や、社会保険料の負担増加などの様々な社会的問題が生じるようになり、企業が従業員の健康に配慮する「健康経営」が推進されるようになった。

健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味する。

そして近年、健康経営よりも広い観点で従業員の健康、幸福を得るための方法として、ウェルビーイング経営が注目されてきている。

ウェルビーイング経営とは、「従業員や組織全体、消費者、地域社会といった企業に関わるすべて人(ステークホルダー)の幸福を追求しよう」という考えに基づく経営手法のことである。

健康経営が、経営者からの視点で行われる「心身の健康」に重点を置いた経営手法であるのに対して、ウェルビーイング経営は、従業員の視点を重点にして行われる「心身の健康だけでなく社会的な幸福」までを視野に入れた経営手法である。

ウェルビーイング経営が求めらるようになった背景には、以下のような現象が挙げられる。

コロナ禍を経て、テレワークなどの新しい働き方をすることで、多くの人がより充実したワーク・ライフ・バランスによる幸福で豊かな生活を希望するようになった。

また、現代人は多様な価値観を持つようになり、多様な考え方を持つ従業員に対応した企業姿勢が求められるようになった。

従来の企業が従業員を「ヒューマン・リソース」(人的資源)、「ヒューマン・キャピタル」(人的資本)として扱う経営手法から、従業員を「ヒューマン・ビーイング」(人間)として認め、その幸福について尽力していく経営手法への見直しが期待されるようになってきたのである。

企業側、従業員側ともにウェルビーイング経営によって多くの効果を得ることができることが実証されており、これからの企業経営には欠かせない要素になっていくことだろう。

■参考文献
「人口減少・社会構造の変化の中で、ウェル・ビーイングの向上と生産性向上 の好循環、多様な活躍に向けて」厚生労働省