「努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野の間にぽつりぽつりと光っているあの灯火たちと心を通じあうことだ。」

サン・テグジュペリ(1900~1944)は、フランスの小説家、飛行士。飛行家としての経験を素材にして豊かな想像力と人間の本質を見極める観察眼で、詩情豊かな名作を世に出した。その生涯は、常識の枠にとらわれず、何ごとも自分の心に忠実に従うという考えに貫かれたものだった。
サン・テグジュペリは1900年にフランスのリヨンで伯爵の子供として5人兄弟の3番目に誕生した。12歳のころから飛行への憧れを持っていた記録が残っている。
19歳で海軍入試を受けるが不合格。21歳で飛行隊に入隊するも23歳の時に事故を起こして除隊となる。26歳で郵便飛行のパイロットとなる。この年に作家としてデビューした。
29歳では南米航空路線開拓の一翼を担う。35歳でフランスからベトナム間の最短時間飛行記録に挑戦し、失敗し遭難する。サハラ砂漠に不時着し、3日後に徒歩でカイロに生還した。この生死をさまよった辛い体験が星の王子さまに反映されている。
38歳ではグアテマラの空港で事故を起こし、瀕死の重症を負う。40歳でアメリカに亡命し、自由フランス空軍に志願し、再度の実践勤務をするが、事故を起こして除隊処分となる。
39歳で「人間の土地」を出版し代表作のひとつとなる。1943年に出版した「星の王子さま」は、世界中に読者を持つ名作となった。特徴的な挿絵の作品は、多くの人が一度は目にしたことのある印象的な作品ではないだろうか。
内容は、人間の真の姿や自然の偉大さについて、星々の間から地球を見つめる視点で語られる美しい物語となっている。大人の童話ともいわれており、愛するということ、友情や仕事をすることなど、人生の意味について考えさせる作品となっている
翌1944年、自由フランス空軍に復帰したが、爆撃副操縦士の着任命令を無視して他の部隊に所属して写真偵察飛行を行う。その年の7月、コルシカ島からフランス本土上空に写真偵察のため出撃後、テグジュペリは未帰還となった。44歳であった。
「努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野の間にぽつりぽつりと光っているあの灯火たちと心を通じあうことだ。」
――大切なのは、自己の可能性を最大限に引き出し、高い理想の姿を目指してより成長できるように努力することだ。そして山野に点在している灯火のような孤独な存在である人間同志が、お互いに光を照らしあって刺激を与え合い、助け合いながら心を通わせて生きていくことが幸せで豊かな人生に繋がる。――
この格言は、サンテグジュペリの飛行家としての観点からのメッセージとなっている。
著作「星の王子さま」には、子供の心を忘れないで、目に見えないものの価値を見つめながら、コミュニケーションを大切に生きていくことの重要性について彼の熱い心がこめられている。彼のメッセージは現代社会に通じるものであり、万人に支持されていくことだろう。


