バーレーンパビリオンの照明3―ウェルビーイングな照明②

今回は、バーレーンパビリオンウェルビーイングな照明演出についてご紹介する。

バーレーンは国民の多数がイスラム教信者の国である。日々の礼拝の時間は太陽の動きをもとにして決められ、太陽の光が人々の生活リズムを創りだし、太陽の光を精神的なよりどころとする暮らしを送っている。そして、現在でも細々と真珠の採取は行われており、人工養殖を禁じ、伝統的な天然真珠のみの採取にこだわっている。

その背景を鑑みてパビリオンの照明計画は、太陽光に準じたサーカディアン照明とした。そして脈々と受け継がれているバーレーンの人々の、自然を愛しながら伝統と革新を融合させる精神性を表現し、ウェルビーイングな生活をイメージした光環境を創出している。

パビリオンの入り口から内部に進むと、階高が1層分の入り口から4層の吹き抜け空間のアトリウムに至る。アトリウムは、側面と吹き抜け天井の部分に、メッシュ膜が張られており、やわらかい印象の空間となっている。

アトリウム側面のメッシュ膜は、間接照明の光により照らされ、吹き抜けの階層ごとの光が統一された光となる演出を行っている。

天井に張られたメッシュ膜は、約13m×4.5mの大きさで、梁に設置したライン照明のアッパーの光により照らされ、その反射光がアトリウム空間全体に降り注ぐようになっている。

アトリウム全体は、メッシュ膜からの間接照明の光で、やわらかな光環境となっており、あたかも自分の体が胎内に温かく包まれたような感覚になることだろう。そして温もりと安心感が得られ、豊かで幸せに満ちた気持ちが感じられる、まさにウェルビーイングな光環境となっている。

照明は、タイマースケジュールによるサーカディアンリズム照明で、朝から夜まで時間帯に応じた光の変化による空間演出が可能な制御方式となっている。

このサーカディアン照明は、高色温度と低色温度の白色比を変えることで調色するという従来の方式とは異なり、波長が480nmの「アズールカラー」と呼ばれる空色の光と、電球色の光により調色する新しく開発された制御方式を搭載している。アズールカラーとは、晴れた夏の日の雲のない空の明るく鮮やかな青色である。

人の目にある光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)を波長480nmのアズールカラーで刺激することで、より効果的なサーカディアンリズム照明となっており、運営のニーズに応じた多彩な光の表現が構築できる。

サーカディアンリズム照明によって、アトリウム空間の光は、自然光に準じて日中は明るくさわやかな印象の青白い光で訪問者を迎え、夜間はリラックスできる暖色の光で訪問者を温かく包んで帰路へと送り出すというウェルビーイングな光環境の創出が可能となっているのである。