脱炭素社会の実現に向けて7─SDGSの目標に関連して

2020年10月、政府は温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボン・ニュートラルを2050年までに達成するという新たな目標を打ち出した。2050年までに13年度比で温室効果ガスを80%削減するという従来の目標を修正し各種計画の見直しを行っていくことになった。今後建築環境においても脱炭素社会に向けてより一層のCO2削減の動きが求められることになる。

今回より政府の目標に準じてこのブログの記事テーマ名称を「脱炭素社会の実現に向けて」とする。

国連が2030年までを達成目標としたSDGsは持続可能な社会を目指す国際目標であり脱炭素社会への道筋とも重なる目標が掲げられている。
我々ALGがSDGsの各項目について照明分野からの働きかけとして提言をまとめたものを記す。※1

SDG → 照明からの働きかけ
1. 貧困をなくそう → すべての人に光を
2. 飢餓をゼロに → 豊かな食生活のための光
3. すべての人に健康と福祉を → 健康的で快適な生活を実現する照明計画
4. 質の高い教育をみんなに → 学びに相応しい光環境
5. ジェンダー平等を実現しよう → 女性の活躍が輝く職場の照明
6. 安全な水とトイレを世界中に → 水銀汚染に考慮した照明
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに → 省エネルギーな照明計画
8. 働きがいも経済成長も → ストレスフリーな職場の照明
9. 産業基盤と技術革新の基盤をつくろう → スマートシティに対応した照明計画
10. 人や国の不平等をなくそう → 豊かな感性を育む光
11. 住み続けられるまちづくりを → 街の安全を確保し,夜景資産を創造する照明
12. つくる責任つかう責任 → 地球に優しい光環境
13. 気候変動に具体的な対策を → エコロジーな照明計画
14. 海の豊かさを守ろう → 海を守る照明計画
15. 陸の豊かさも守ろう → 森を守る照明計画
16. 平和と公正をすべての人に → あたたかな光で心に平和と公正を
17. パートナーシップで目標を達成しよう → パートナーシップで明るい未来を

脱炭素社会へ向けて様々な取り組みが考えられる中で SDGsの各目標項目に照らし合わせながら建築・照明の今後の脱炭素社会へ向けての取り組みや課題について考えてみたい。
 
 
※1 小西美穂「SDGsから紐解く,2030年に向けた照明デザイン」『照明学会誌 第103巻 第9号』一般社団法人照明学会,2019年,p.386