「光が多いところでは、影も強くなる」


この格言はドイツの詩人、小説家ゲーテの言葉である。

光が強く当たっているところでは、影は濃く出る。とかく人は、明るく照らされているところだけを見てしまう。しかし、その裏には、光の強さに比例する強さの影の部分が必ず存在することを忘れてはならない。

この光と影の意味をどう捉えるかは人により異なるだろう。

ある例として、輝くような栄光を手にした人がいるとする。その栄光が華々しいものであればあるほど、その人の過去には、必ずや血の滲むような努力や苦労があったことは想像にかたくない。栄光を光とすれば、その礎となった諸々のものが影と言える。

影なくして光を得ようとしても不可能だ。光と影は共に存在するものであるからである。また、光だけを見ようとしても影がないと光は見えない。

また、光だけを追い求めて影の存在をないがしろにすれば、もし光を得たとしてもその光はすぐに消えてしまうことになるだろう。光を得てもなお影の存在を重視し、行動する人こそが光輝き続けられるのではないだろうか。

光の意味をどう捉えるかの違いはあっても、光と影の関係をしっかりと見据えて行動し、生きていくことが豊かな人生には大切なことである。

努力なくして成功しようとするような意思を持つ人には、きつく響くだろう、深い戒めの教えを含んでいるゲーテの格言である。