サンカヨウ


新緑が美しい5月。山登りに適した季節とも言えるのではないだろうか。
今回はそんな山に植生している花の中から「サンカヨウ」という植物を紹介する。

サンカヨウとは日本・サハリンが原産の植物であり、季節が変わっても咲く多年草である。呼び名はサンカヨウ(山荷葉)以外にアンブレラリーフ、スケルトンフラワーなどと呼ばれる。
冷涼な高地で湿度が高く、緑に囲まれた山腹に生え、アメリカのアパラチア山脈、中国や日本など限られた地域でのみ見ることが出来る。日本では中国地方から北海道の山地・亜高山・高山の湿度の高い森林内で植生している。
5月~7月に咲く花ではあるが、開花から1週間ほどで散ってしまうため、咲いている姿を見ることが難しいという。

この花の最大の特徴は濡れると花びらが透明になるということだ。
しかし、ただ濡れるだけでは透明になることはなく、「花びらが散らない程度の弱い雨が長時間続き、低温高湿状態になる」という条件を満たしてはじめて透明になるのだという。

では、なぜ透明になるのか。
実はサンカヨウの花びらは本来透明であるそうだ。花の白色は色素の色ではなく、細胞内にあるたくさんの小さな空気の泡が光を乱反射するために人の眼には白色に見えるのだという。
雨に濡れることで水分が花の細胞に入り込み、光の乱反射が起きにくい状態になり、透明な状態になるのだ。

透明なサンカヨウの花びらを見るには厳しい複数の条件が必要ではある。しかし、街中から離れてリフレッシュをしながら、運試しにサンカヨウに会いに行くのも良いのではないだろうか。

参考文献:
https://icotto.jp/presses/16760
https://ozaki-flowerpark.co.jp/dictionary/6926/