デジタライゼーションと光─Li Fi(4)

LiFiのスーパーマーケットでの活用例をみてみる。

・スーパーマーケット
LiFiをスーパーマーケットに導入することでリアル店舗の活性化を図ることができる。
フランスのあるスーパーマーケットでは、LiFiを利用して店内の売り場への案内だけでなく、その日のセール品やイベントなどのプッシュ通信を行っている。※1

来客した客はまずスマートフォン上で店のアプリを起動し、LED照明との可視光通信が始まる。画面には店内のマップが2D,3Dで表示される。LED照明には明滅のパターンが64000通り用意されており、購入したい品目を設定するとその売り場への案内が行われる。また、売り場に案内するだけではなく、割引商品やお買い得商品、購入したい品に関連した商品の案内なども行われる仕組みとなっている。

LiFi導入でネット通販などが備えるレコメンド機能に似た機能が加わり、ネット通販に押され気味なリアル店舗での買い物がより便利になり魅力的なものとなるのである。

店内での客の動きや探した商品などの履歴を店舗側が分析すればマーケティングにも役に立ち商品の入れ替えや棚のレイアウト変更などにも有効である。特定の商品を客のスマホに紹介するプランを店舗側が提案することも可能となる。

屋内ナヴィゲーションの技術としては、これまでにもWi-Fiや地磁気を利用したシステムやBluetoothを用いたアップルの「iBeacon」、GPSのような電波を屋内で発信するIMES(Indoor MEssaging System)などが知られている。これらに比べて、LiFiは特別な機器の導入や工事をする必要がなく、LiFiに対応したLED照明に交換するだけで済み、システムを導入するハードルが低く、コストも安く済む。

ただし天井高4.5m以上では可視光通信を用いた測位ができないため、天井高に制限がある。

LiFiは照明を媒介とした双方向のコミュニケーションの実現を通して、購買客に『より特別な体験』『より便利な経験』を提供し、より豊かな購買体験に繋げることができる。リアル店舗の収益性を高め、売り場を活性化することができる光通信技術であると言えるだろう。

※1 照明のちらつき」はリアル店舗を救うか──LEDの明滅を用いたフィリップスの屋内ナビ技術. WIRED . https://wired.jp/2017/03/21/led-indoor-positioning-system/