照明制御システム④―2線多重伝送制御方式


照明制御システムは、1978年のオイルショックに伴う省エネ法(1979年)や「省エネルギー建築設計指針」(1980年)などを契機に省エネ、省配線、省施工を目的とした開発が進むようになった。

1986年には2線式多重伝送方式が開発された。それまでのダイレクト制御または、ワンショットリモコン制御方式に比べて施工性、利便性に優れた制御方式である。

2線多重伝送制御方式は、コントローラーをシステムの基幹部材として設置し、リモコンスイッチとターミナルユニット等の機器を組み合わせて構成する。デジタル信号伝送を採用し、リモコンスイッチとターミナルユニット付きリレー集合体間をすべて2本の信号線のみで接続する。

リモコンスイッチとターミナルユニットにそれぞれアドレスを設定し、相互に制御・監視される対象を決定することで点滅を行う。アドレスの設置は専用の設定器を使用し、赤外線、または専用ケーブルを壁スイッチや人感センサー、ターミナルユニットに接続して設定できるようになっている。

もとはクローズシステムであったが、インターフェースユニットを追加することでオープンシステムに接続できるようになり、BACnetなどを介して中央監視システムとの連動やWEB画面上で遠隔からのON/OFF制御、監視が可能となった。グループ・パターン制御やスケジュール制御も可能で、タッチパネル式液晶画面からの操作も可能である。

2線多重伝送制御方式によってデジタル信号処理による多様な制御機能の導入、竣工後の設定変更が容易となり、標準的な照明制御システムとして現在も多く利用されている。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/37/9/37_669/_pdf/-char/ja
https://www.ribc.or.jp/research/pdf/report/report44.pdf