光のパブリックポリシー11 屋外照明2


街路灯は屋外照明器具のひとつとして夜間に行き交う人々の安全安心を確保するものである。日本で初めて都市に街路灯としてガス灯が設置されたのは明治時代の始めであり、その後、全国の都市部へと 街路灯が普及するようになり、都市は夜間でも灯りによって 照らされるようになった。*1

夜間、屋外の暗闇に不安を覚える人間にとって街路灯は、安心感を得られ、夜間の活動を広げることができる照明である。街路灯は、暗い夜に明るい光を与えるという機能的な照明でありながら、街の景観を構成する重要な要素としてその形状にデザイン性を持たせたものも多い。

また照明として明るい光を得るという機能だけではなく、様々な機能が付加された街路照明が近年開発され、製品化されている。

センサー付街路灯は電波式センサを設置して、人が近づくと70%調光状態から100%にフル点灯する仕組みとなっている。既存の街路灯の柱の中に蓄電池を設置し、停電時には蓄電池の電気で点灯する仕組みの街路灯を東京都町田市では、市内各所に設置している。

また、創エネ機能と防災機能を備えた街路灯もある。晴天時には太陽光で発電した電気を蓄電池に溜め、夕方に暗くなると自動的に点灯する街路灯である。災害時でも消灯せず、非常時には付属のコンセントから携帯電話の充電、ラジオや拡声器の電源を取ったりすることもできる。

近年、技術革新の動きを反映し、街路灯にLED照明、カメラ、スピーカー、サイネージなどを搭載し、街の見守りや賑わいなどを支援する「スマート街路灯」と呼ばれる街路灯が登場し、新しいネットワークインフラとして活用され始めている。照明としてだけではなく、広く社会に貢献するものとしてスマート街路灯の機能は今後もさらに進歩していくと考えられる。

従来の街路灯の光源は、蛍光灯などであったが現在はLED化が進んでおり、省エネが図られている。また、街路灯のデザインや光源の光色は景観を構成する重要な要素となっており、見る人の心に寄り添うような雰囲気のある街路灯の存在は人々の心にやすらぎや憩いを与えてくれている。

明るさを提供するという本来の機能だけではなく、様々な機能を持ち始めた街路灯。照明デザイナーが照明器具のデザインや、配置、効果などを計画することで、街路灯は魅力的な屋外の光環境を創出することが可能な屋外照明となっている。