「幸福とは何か飛び抜けたイベントなどではありません。日々に感じる小さな灯火(ともしび)にこそあるのです。」

ドロシー・ロー・ノルト(1924~2005年)はアメリカの著述家、家族療法のカウンセラーである。著書「子どもが育つ魔法の言葉」は、平易で説得力のある子育て論として多くの人に支持され、世界的なベストセラーとなっている。

ドロシー・ロー・ノルトは1924年にアメリカロサンゼルスに生まれた。ミネソタ州立大学を卒業し、40年以上にわたって家族関係についての授業や講演を行い、家庭教育や子育てコンサルタントを務めた。40代には英国国立聖職大学で博士号を取得している。2005年に81歳で家族に見守られながら永眠した。

「子は親の鏡」という詩は1954年にカリフォルニアの新聞に発表され、大きな反響を得た。この詩を基にして書かれた本「子どもが育つ魔法の言葉」(1998年)は22ヵ国語に翻訳され世界中で多くの共感を呼んだ。日本では皇太子殿下が子育てに関して出会った詩としてこの詩を朗読されたことで注目を浴びた。

本を発刊した当時ノルトには12歳の娘と9歳の息子がおり、成人教育プログラムの講師や保育園の保護者教育の責任者などを務めていた。ドロシーは、当時の教育が「何をすべき、すべきでない」という言葉のみによって語られており、「子どもたちを導く概念」は広く知られていなかったと語っている。

その中で子供達を導く概念を表した本「子どもが育つ魔法の言葉」は、教師や保護者教育の場で広く受け入れられて世界的に広まった。後にドロシーはこの本が世界的に受け入れられ、古典になる運命だとは思わなかったと回想している。

―― 幸福というものは、特別な出来事から生まれるものではなく、人を愛するという日々のささやかな行為から生まれるもので、心の中にある愛の灯こそ大切にしたいものなのです。――

―万物の生命の源である太陽のように芸術は生きる力を与えてくれる―

この格言には、ドロシーの幸福や愛に対する思いが込められている。ドロシーは著書の中でこう書いている。

人を愛し、愛されることは、人間にとって一番大切なことです。(中略)欠点も含めた全存在を受入れ、愛してくれる親というものが、子供には是非とも必要なのです。 子供はそのように愛されることによって、人を愛することを学ぶのです。愛ほど強く大きな幸福感は他にありません。

ドロシーの親子の問題をあたたかく見つめるまなざしや、長年の経験に裏打ちされた子育てに対する心のこもった言葉は、これからも国境を越えて世界中の人々の支持を得て愛されていくことだろう。


・参考
・https://en-m-wikipedia- org.translate.goog/wiki/Dorothy_Nolte?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

・http://www1.odn.ne.jp/fpic/familio/familio046_a.html