「混沌を内に秘めた人こそ躍動する星を生み出すことができる。」

フリードリヒ・ニーチェ(1844~1900年)は、ドイツの哲学者、古典文献学者。
ニーチェは1844年にドイツのレッケンに生まれた。父は裕福な牧師で元教師だった。幼少の頃から聖書を読んだり、作曲をする多才な子供であった。

24歳でバーゼル大学の古典文献学の院外教授に就任し、翌年教授に昇格する。しかし32歳の時に体調不良で教授の職を辞し哲学者として漂流することになる。

39歳から41歳にかけて「ツアラトゥストラはかく語りき」全4部を執筆した。これは彼の思想の集大成とも呼べる内容となっており、物語形式に書かれた文章の中にニーチェの思想がちりばめられている。
45歳の時に転倒したことをきっかけに精神を病み発狂し、その後肺炎により55年の生涯を閉じた。

ニーチェは自分の目を通じて現実世界を見ることがいかに大切かを思想の中心においた。人生に迷うような時、まずは自分の心に耳を傾けられなければ、その先に続く幸せや喜びは手に入らない。そして、自分を不遇だと思って生きている人に自分の恨みや嫉妬や妬みの感情に負けるなと言い、それを乗り越えてどう生きれば良いかという考えを示した。

それは人生において自分の価値観を理解し、その創り上げた自分の価値観に従っていくことこそ重要であるという考えである。そして自分の生きる価値を自分自身で作り出して生きるのだ、と創造的な人生を歩むことを人々に呼びかけたのである。

混沌を内に秘めた人こそ躍動する星を生み出すことができる。

―自身の中に混乱を抱えた人こそ、その混乱状況を乗り越えて新しく輝く価値を生み出すことができるのだ―
二ーチェは不遇な人生であったが自身は最後まで人生を肯定していた。「苦しみの中にも輝く瞬間がある。少しでもその輝きがあればそれはもう永遠である。全人生が肯定される。」と。

新型コロナ禍が続く現在、私達は今までの生活とは異なった生活を余儀なくされている。この現実世界をいかに受け止め、そこから新しい価値を生み出すかは私達に課せられた大きな課題である。ニーチェが提唱した、生きる上での新しい価値の創造を柔軟な思考に基づいて私達が創り上げることによって、より豊かで幸福に満ちた人生の実現につなげていきたいものである。