【アワーシリーズ】ゴールデンアワー

美しく空がピンク色に染まる瞬間を目撃したことはあるだろうか。
余りにも一瞬すぎて見とれている間に消えてしまうあの色を多くの方が経験されていることだろう。この儚い時間帯は、一般に「ゴールデンアワー」と呼ばれている。薄明という呼び方も有名だろう。
ゴールデンアワーはその名の通り空がピンクがかった黄金色に輝く時間帯の事である。

厳密な定義はないが、1月の季節の記事でも紹介した「ブルーアワー」が日没後、日の出前なのに対して、ゴールデンアワーとは日没前、日の出後に数十分程体験できる薄明るい時間帯を指す言葉である。ブルーアワーが太陽なき時間帯であり、ゴールデンアワーは太陽が消えゆく時間帯となっており、これらの日の出日の入りにともなうフェーズを「マジックアワー」と総称する。
もともとは撮影に携わる方が使っていた用語と言われている。

日中の日の光は色温度で言うと5000Kほどと言われているが、このゴールデンアワーではあたりが約3500Kほどと薄暗くなる。光源である太陽が隠れるため、影がなくなり、物がこの世のものでないような、どこか幻想的な感じをおびてゆく。人物や建物がシルエットのみになる非現実的な時間。

まさに流れるように移り変わっていくのがこの時間帯であり、理想的な写真を撮るのには絞りや露出の丹念な確認が必要となってくるだろう。
実は5,6月というのはこのゴールデンアワーを観測するのに最適な季節である。寒暖差の大きく、雲がぱらぱらとさりげなくのこる、虫や暑さ、寒さも厳しくないこの季節。
撮影にのみこだわらずとも、まばたきをする間に変化してゆく初夏のマジックアワーをぜひこころゆくまで楽しんでほしい。