「顔をいつも太陽のほうに向けていて 影なんて見ることはないわ。」

ヘレン・ケラー(1880~1968年)はアメリカの著述家、社会事業家、平和主義者。
三重苦を克服し、障害を持つ人々の救済のために生涯を捧げた。

ヘレン・ケラーは、1880年にアメリカアラバマ州に生まれた。父は南北戦争時に南軍の陸軍大尉で裕福な地主であった。ヘレンは1歳9か月の時に、原因不明の高熱に侵され、視覚と聴覚を失ってしまい、生涯その障害を背負って生きることになるのである。

ヘレンが6歳の時に、22歳のアン・サリバンが家庭教師として訪れる。
サリバンは最初に、ヘレンに指文字を教え、ヘレンは3か月で300単語を覚えたという。その後読むこと、書くことを教育し、11歳からは会話が出来るようになるために発声法を学ばせた。

17歳になるとヘレンは女子教育の名門であるラドクリフ大学に入学し、優秀な成績で卒業する。英語、フランス語、ドイツ語、古典語のラテン語、ギリシャ語を習得し、文学、歴史、哲学の教養に通じている優れた障害者として新聞にも紹介された。また、ヘレンは在学中に著した「私の生涯」という本は多くの人に読まれ、高く評価された。

ヘレンは大学卒業後、盲人のために尽くすのが終生の使命と考え、著述と講演を精力的に行いながら障害者の権利擁護のための社会改革を求めて活動を続けていった。

59歳の時にサリバンを亡くし、ヘレンは悲しみと絶望の淵に突き落とされるが、長年手伝いとして傍にいたポリー・トムソン女史がその後のヘレンの晩年を支える。そしてヘレンは87歳でこの世を去った。その亡骸はワシントン大聖堂の地下に安置されている。

顔をいつも太陽のほうに向けていて 影なんて見ることはないわ。

―どんな時でも、悪いことを心配したり考えたりしないで、明るく光輝く希望を見つめていきましょう―
平和論者で常に明るい希望を持ち、たゆまない努力を惜しまず、高い思想と前向きな楽天主義で自らの人生を切り開いたヘレン。生涯を障害者福祉のために尽くしたヘレンは、誰にも限りない可能性があり、日常がどれくらい輝きに満ちた素晴らしいものであるかを世界中の人々に唱えた。その熱意と愛情はこれからも語り継がれ多くの人の心を感動させることだろう。