新しい照明分野5―メディアファサード


建築物のファサード部分は、建物の顔とも言える部分であり、どのようなファサードにするかによって通行人に与える印象が大きく異なってくる。

ファサード看板は、店舗の正面に掲げる看板のことで、視認性の高い入口付近に設置することで人目を引きつけ、アピールポイントを発信できる。店舗によってその店の持つブランドイメージに合わせてファサード看板を設置しており、その表現方法は様々である。

近年、従来のファサード看板に代わって登場したものにメディアファサードがある。メディアファサードとは、建築の外壁や正面に照明装置やディスプレイを設置し、動きのある演出をすることで建築そのものをメディアとして活用する演出や技術のことを言う。

既存の建築物に変更を加えることなく視覚的な演出ができ、外観全体を活用した演出が通り過ぎる人の目を惹きつけることで集客率の向上を図ることができるものだ。建築物のファサードに広く用いることで、建築物が街や都市のシンボルとなり、都市景観のひとつとしての位置付けが期待できる。

メディアファサードの実施に関しては、屋外照明に関する規制や条例などに抵触しないかの確認が必要で、照明の色や照射方法について十分に配慮したプランでなければならない。

また、省エネ、節電の為の効率性や安全性、メンテナンス性についての検討や、コントロール技術、コンテンツの製作能力なども求められる。そして高い演出効果を得るためには、演出全体の完成度が重要である。メディアファサードの演出が効果の低いものであったり、ブランドイメージに相応しくないものであると集客率の向上は見込めなくなるため、導入前の入念なシミュレーションが必要となる。

ヨーロッパを中心にして広まってきたメディアファサードは、日本においても集客効果のあるデジタル時代の新しい情報発信手段のひとつとして、今後もさらに普及していくことが予想されている。

参考資料
https://www.facebook.com/ledtokyo.led/posts/2350127845246687/