照明制御システム③―位相制御方式


位相制御方式は、白熱電灯などフィラメントに電圧をかけて、発熱を光に変換するような光源に採用されている調光方式である。交流電圧を直接オン・オフできるスイッチング素子(トライアック)を使用し、印加電圧の半サイクルごとのオン・オフ時間のタイミング(位相)を調整し、電圧を変化させる方法である。

調光信号線を使わずにスイッチの配線と同じ配線が利用でき、システムに必要な機器数が少なく、安価にシステム構築が可能である。

位相制御方式は、電源電圧を直接制御する方法のため、大容量になるとシステムが大型化してしまう。そのためあまり大規模ではない建築に利用されている。また、調光範囲を大きく設定するとちらつきを生じたり、電源電圧が変動することで明るさに変化が生じるという問題がある。

逆位相制御方式は位相制御方式の出力OFFの位置を変化させて明るさを制御する方式である。位相制御に比べて出力ONの時の立ち上がりがゆるやかなため、ちらつきやうなり音などのノイズが発生しないため寝室等の静かで落ち着きが必要な空間に適している。

LED照明器具は内蔵するドライバで交流を直流に変換している。そのため、交流電流の位相が反映されず位相制御方式をそのまま利用することはできない。LED照明を位相制御方式で利用する場合には、位相制御LED器具や、位相制御モジュールを使用することが必要となる。

主に白熱灯の制御方式として利用されていた位相制御方式は、白熱灯の製造が中止となった現在では、デザイン的に利用される電球型のLED照明器具などの調光方法として利用されている。

参考文献
https://edn.itmedia.co.jp/edn/articles/1003/03/news108.html