光のパブリックポリシー8 災害時の避難所の照明1


阪神・淡路大震災(1995年)では、約31万人が避難所生活をし、避難所閉鎖までに6か月を要した。東日本大震災(2011年)では、岩手、宮城、福島の3県で約41万人、全国合計では約47万人が避難所生活をし、避難所の最終閉鎖は2年9か月後だった。*1

避難所は災害によって住まいを失ったり、地域での生活を失ったりした被災者の拠り所である。しかし、過去の災害の経験からもわかるように、避難所の生活環境には多くの問題が生まれ、それらの問題は避難所生活者の心身の健康に大きな影響を与える。

避難所において照明に関してはどのような問題が生まれるのか、またその問題に対してどのような解決法があるのかについて考察してみる。

被災して避難所生活を送るようになった人達は、日常生活と大きく異なる生活を強いられることになる。特に長期にわたる避難所生活は心身共に多くのストレスを抱えながらの生活となってしまう。災害時における避難所生活を支える照明においてはどのような課題が生まれるのだろうか。

2016年に発生した熊本地震では約18万人の避難者を出した。避難所となった学校における施設面の課題などについての調査によると、調光機能を備えた照明や、館内出入口の照明が必要との要望があったという。*2

夜間には一斉消灯をすると館内が暗くなることで不安、不便が生じてしまう。反対に、夜間に館内の照明を通常と同じ状態で点灯していると睡眠が妨げられることになってしまう。

避難所である体育館の照明を調光機能付きのものにすることで、時間帯に応じて適切な明るさを得ることが可能となる。調光機能は利用目的に応じた演出が可能となるため、平時の体育館の使用時の多様な活動にも対応できる有効な照明機能である。

また、避難生活においては館内出入口専用の照明を設置することで夜間での安全で安心な行動が可能となる。

■参考文献
*1 https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1605hinanjo_guideline.pdf 内閣府
*2 避難所となった学校における施設面での課題等について 
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/043/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/06/20/1372530_6.pdf 熊本県教育委員会