「希望とは風雨の夜に早くも朝紅(あさやけ)をさす。」

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749~1832年)はドイツの詩人、劇作家、自然科学者、政治家、法律家である。

ゲーテは1749年ドイツの裕福な家に生まれる。語学にたけた子供で少年時代にはすでに6か国語を習得しており、詩作も幼少の頃から評判であったと言われている。21歳でシュトラースブルク大学法学部に入学し卒業後は弁護士の資格を取り弁護士事務所を開設した。その後も文学活動を続け、25歳で「若きウェルテルの悩み」を出版した。この作品は大評判となり、ヨーロッパ中にゲーテの名を轟かせることになった。

33歳の時にはヴァイマール公国の宰相となり、政治活動に勤しむ。37歳の時に休暇を申請し、事実上政界を退き、2年間イタリアに滞在して見聞を広め、執筆活動を再開する。一方医学、生物学、植物学、光学、天文学などの研究に励み、多くの学術書を著した。晩年は妻と一人息子に先立たれ、腎臓の病を抱えたが、ファウスト2部の完成に精力を注ぎ、死の前日に完成させて1832年83歳の生涯を終えた。

希望とは風雨の夜に早くも朝紅(あさやけ)をさす

――人生では絶望や悲しみ、苦しみにさらされる時がある。そのような厳しい状況の中でもあたりを美しく染め上げる朝焼けの光のように生きる力を与えてくれる希望の光がある――
ゲーテは作家としてだけでなく政治家、科学者など多方面で活躍した。彼の活躍の原動力となったものは飽くなき探究心と情熱と幅広い視野であり、常に前向きにそれらを持ち続けたことが彼の人生を実り多いものにした。

ゲーテの作品には多くの作曲家が曲をつけており、特に「魔王」「野ばら」などシューベルトによる歌曲は世界中の人に愛されている。

ゲーテの音楽作品に耳を傾けながら、自身の能力を多方面で生かしてグローバルに活躍したゲーテの生涯に想いを馳せてみてはいかがだろうか。