新しい照明分野6―舞台照明


演劇やコンサートなどの舞台演出において照明は重要な要素である。舞台照明は舞台上の演者を見えやすいように光で照らすのはもちろん、役者の心理状態を表現したり、シーンの雰囲気を左右したりするなどの多くの役割を担っている。

舞台照明は演劇照明、音楽照明、舞踊照明に大別され、各ジャンルの演出や演技のスタイルにより照明技法が異なる。その技法は、光の明暗、光の方向、光の変化、光の色彩、光と影による光の配置を基本としている。

初期の舞台照明はたいまつやロウソクなどで、単に明るくするという目的で行われた。19世紀末にエジソンが炭素電球を発明してから近代の舞台照明の歴史が始まる。

光源は、アーク灯、タングステン・ランプ、ハロゲン・ランプ、キセノン・ランプ、LEDへと発展し、調光装置は金属抵抗式、変圧器式、真空管式を経てエレクトロニクスの発達に伴い半導体を利用したサイリスタ式となった。今日ではバリライトやレーザーライトの登場により複雑多様な照明が可能となっている。

舞台照明の仕事のシステムは、照明デザイナーと操作者であるオペレーター、機材の仕込みを計画するプランナーとの共同作業となり、多くの場合は兼任している。

欧米では、オペラ、バレエ、演劇などの専門劇場に分かれているが、日本では歌舞伎等を除いて専門劇場が少なく、多目的ホールと称する形態となっているホールが多い。多目的ホールには定石的な設備が用意されており、催物によって照明灯具の場所・光の照射方向・調光設定を変更できるようになっている。多種多様な器具の操作技術を要することから、時間や経済の制約にも関わらず日本の舞台照明技術は国際的に高い技術水準を保っている。

舞台芸術は、台本・演出・演技という主体的な要素と装置・音楽・衣装・音響効果などの副次的な要素からなる。舞台照明はそれらすべての要素と有機的に関連し表現されたときに光の芸術としての特性が発揮される性質のものである。

照明設計者の人間性豊かな感性と発想から生まれる舞台照明は、舞台芸術の一端を担う重要な要素であり、新しい技術の開発と共にこれからの発展を楽しみにしたい技術と言えるだろう。

参考資料
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%9E%E5%8F%B0%E7%85%A7%E6%98%8E
https://kotobank.jp/word/%E8%88%9E%E5%8F%B0%E7%85%A7%E6%98%8E-124909#:~:text=1878%E5%B9%B4%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3,%E7%99%BA%E9%81%94%E3%81%A8%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E5%88%86%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82