照明制御システム①―歴史1

照明設備は明るさを提供して視認性を得ることが主な目的で生まれたが、現代においては省エネ性能、快適性能、など多くの機能が求められるようになっている。そして、その要求に応えてより高い性能を得るために、「照明制御システム」は欠かせないものとなっている。

光の制御について日本のあかりの歴史を振り返ってみると、江戸時代、日本ではろうそくを光源とした行灯の一部は行動目的に応じて光の調整ができるあかりとして使用されていた。有明行灯や丸行灯は、周りの和紙部分の面積を調節したり、光の漏れる部分を調節することで明るさを調節することができ、江戸時代の日本人は光の調光をしながら生活をしていたことが伺える。
江戸時代の生活と光6─あかり(2)

近代における照明の制御技術は、1959年ジョエル・スピラ(Joel Spira)氏がアメリカにおいて家庭用照明制御器具を発明したことに始まる。*1

照明の制御技術の父として知られるジョエル・スピラ氏は、時に応じて必要な光に変えることができるデバイスとして照明の電子式調光器を発明し、1961年に製品化した。それ以前に、光源の強度と明るさを制御する装置は存在していたが、高価なうえに大型で大量のエネルギーを消費し、大量の熱を発するために、舞台照明など特定の商業的機能を有する建物に限定されて使用されていた。

スピラ氏が発明した照明制御装置は、標準サイズの電気ボックスに収容できる小型の電子ソリッドステート調光器で、住宅やアパートにも適応可能なものであった。スピラ氏は後に、Lutron(ルートロン)を創設し、長年にわたり照明制御の発展に尽力することになる。*2

スピラ氏が光を調整するために考案した電子式調光器は、電力の供給を制御して光の強さを調整する制御装置であり、電力消費を効率的に制御できるため、省エネルギーと照明の光の柔軟性を兼ね合わせたものだった。彼が「光によって家庭における人間の見え方を変える」という発想から生まれた照明制御技術は、その後大きく発展していくことになる。

参考文献
*1ジョエル・スピラ氏
https://en.wikipedia.org/wiki/Joel_Spira_(businessman)
https://www-lightingdesignandspecification-ca.translate.goog/latest-news/2069-joel-・spira-remembering-an-industry-giant/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc
*2ルートロン株式会社
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3