歯と光 (1)




楊貴妃の美しさを称える形容詞に「明眸皓歯」(めいぼうこうし)という言葉がある。「明眸」は済んだ瞳、「皓歯」は白く輝く歯のことで、唐の時代から美人の条件に歯の美しさがあったことが伺える。

歯並びの良い白い歯の見える笑顔はとても美しく、好印象を与える。歯がきれいだということは人と接する上でとても大きな魅力となる。

今回からは、歯と光についてみてみたい。

歯は外側にエナメル質があり半透明で、その下に象牙質というクリーム色の組織の色が透けて見えている。エナメル質は健康な歯では結晶が規則正しく並び、きらきらとした光沢感がある。

しかし、私達の歯の色は自然と黄ばんできたり、色がくすんできたりしてしまう。
歯が汚れる原因はコーヒー、お茶などの茶渋などの沈着物が歯に付着したり、歯垢が固まって歯石として歯に黄色く付着することによる。これは、歯ブラシやフロスなどで汚れを落としたり、歯科医で歯垢を取り除くことで対処できる。

歯の黄ばみの原因は加齢や遺伝によるものが大部分となっている。
加齢により象牙質の色は濃くなっていったり、摩耗によりエナメル質が削れていき、中の象牙質の色がより見えるようになることで、黄色味はますます濃く見えるようになってしまう。

この黄ばみを改善するには、ホワイトニングが有効である。
最近日本では歯の審美性に注目が集まり、歯のホワイトニングを行う人が増えている。日本人女性の8割は歯のホワイトニングに興味があるという。

ホワイトニングは1989年にアメリカで実用化され、歯の表面に付着した色素を落とすだけではなく、歯の中にある色素を分解して歯の明るさを上げて歯自体を白くしていく方法である。
歯科医院で行うものには過酸化水素を歯に塗布してハロゲンなどの照明の光を当てたり、最新の方法である二酸化チタンを使用し、LED照明の光を当ててホワイトニングをする方法などがある。
また、自宅でできるホワイトニングとしてはマウスピースに薬剤を入れて毎日1~2時間程歯に装着する方法がある。

いずれにしてもホワイトニングをしたことにより歯が白くなると、笑顔に自信が持てるようになった、より積極的で明るい性格になったなど、精神的にも良い効果を実感する人が多いそうだ。

白く輝く歯は、光が当たると周囲の肌を明るく透明感が増したように見せてくれる効果もある。
自分なりの方法で歯を美しく保ち、清潔感のある健康的で輝くような笑顔で生活を送りたいものである。

photo by Hamza Butt