写真と目

いろいろな場で行われるライトアップやイルミネーションといったものは、もはや日本人にとって当たり前の風景と言える。しかし、そうした風景を写真で撮って見ても、肉眼で見た感動は得にくい。反対に、写真で見た感動を肉眼では得られないこともある。

この二つの違いで上げられる第一の理由はカメラと人間の「眼」の構造と性能の差だろう。
肉眼の場合、色を感知できない代わりに微弱な光を感じることのできる桿体(かんたい)細胞の中にある『ロトプシン』という成分を増やし、「暗順応」を起こす。そうすることで暗闇の中にあるものを見ようとする。しかし、光が一切ない暗闇の中では物を感知できない。
反対に、カメラは付属する赤外線照射装置から照射された赤外線(可視光ではない電波)を対象に反射させ、その反射から対象物を判別する。全く光源が無い暗所でも撮影が出来るのが肉眼との大きな違いである。
しかし、「暗闇による明暗」も風景を見た際の感動に影響しているのではないだろうか。

昨今では暗視カメラの性能が格段に上がり、隅々まで暗闇の中の風景を感知できるようになった。しかし、暗がりは明るい部分をより引き立て、格別なものとするのも事実ではないだろうか。光を背にこちらを向く人物の、闇に埋もれた見えない表情を想像するのも興味深いと私は考える。

ライトアップやイルミネーションのイベントが多いこの時期、光に焦点を当て、暗闇に想いを馳せてみてほしい。五感総てを使ってその空間を感じることができるのではないだろうか。

参考文献:
https://bouhancamera-choice.com/words/night_vision_camera#:~:text=%E6%9A%97%E8%A6%96%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E7%AD%89%E3%81%AB%E4%BB%98%E5%B1%9E%E3%81%99%E3%82%8B,%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%92%AE%E5%BD%B1%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82

https://www.tv-osaka.co.jp/qsience/q_science/img/gimon_img/g_q_a/g_sei_21.html