アレキサンドライトの変色性

6月の誕生石のひとつとして知られるアレキサンドライトは優れた変色性をもち、昼の太陽のもとでは緑に、夜の白熱灯のもとでは赤に変化する。その変色効果は時に「昼のエメラルド」「夜のルビー」と例えられる。
今回はそんなアレキサンドライトの変色性について見ていく。

アレキサンドライトの歴史は1830年にロシア帝国ウラル山脈のエメラルド鉱山から発見されたことで始まる。当初はエメラルドと思われていたが、夜になりロウソクの火で照らすと深い赤色に変化したことで、他の宝石には見られない珍しい性質が注目され、当時のロシア皇帝ニコライ1世に献上された。
献上された日が、ロシア皇太子のアレキサンダー2世の誕生日であったことにちなんでアレキサンドライトと名づけられたと言われている。

アレキサンドライトの変色性の仕組みは、緑色と赤色の両方をバランスよく反射する性質にある。補色の関係にあるこの2色は中間色がなく、あたる光の種類によってどちらか片方の色に転ぶことになる。つまり、緑成分を多く含む太陽光や蛍光灯の光では緑に輝き、赤成分を多く含む白熱灯や蝋燭の光では赤に輝きを見せることになる。

変色性を有する宝石の中でも、幅広い色の変化を見せるアレキサンドライトはダイヤモンドをも遥かに凌ぐ希少性を持っている。 知れば知るほど惹かれる神秘的な光学的現象。機会があればぜひこの色変化を体験してはどうだろうか。

参考資料
https://www.gia.edu/JP/alexandrite
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88