新しい照明分野13―メディアアート⑤ プロジェクションマッピング2

プロジェクションマッピングは建造物や空間などを利用して様々な表現が可能なメディアアートである。規模が大きなものや関心を引くものはメディアやSNSで拡散されやすく、マーケティングに利用して大きな効果を期待することができる。

マーケティングの目的で制作する場合に注意したい点は以下である。
・コンセプトを明確にし、しっかりとしたメッセージを発する
・印象深い映像にするために周囲の環境を上手に取り込む
・ターゲットに適した場所で行う
・視聴者の印象に残りやすくして企業のブランディングやサービスの宣伝などの効果を得るために、高いオリジナル性を持つ映像を制作する

プロジェクションマッピングは観光施設や、娯楽施設でも高い集客効果を得られるため、多くの施設で利用されている。また、見る人に癒しや元気を与える効果を得るものとしての活用もされている。

ある病院では、小児科病棟の子供達やその家族にプロジェクションマッピングによって笑顔になってもらう活動を行っている。クリスマスに小児病棟の中庭外壁面にアニメーションによるプロジェクションマッピングを上映したり、病棟内に動物のプロジェクションマッピングを常時映して子供達や家族の人たちに癒しと楽しみを提供しているという。

災害対策としても利用されている。避難所、浸水想定区域、土砂災害危険地区をプロジェクションマッピングすることで立体的にハザードマップの防災情報を可視化することが行われている。

また、災害支援として2016年の熊本地震の被災地において取り壊しが決まった仮設住宅、水害被害を受けた住宅などストーリーを持った場所にてプロジェクションマッピングが開催された。

光と影による視覚の錯覚を生み、空間や物体に新しい息吹を与えるプロジェクションマッピングは、新しい光の芸術作品としてだけではなく、多様な目的に利用可能なメディアアートとしてこれからもますます私達の生活において身近なものになっていくのではないだろうか。

参考資料
https://www.tmd.ac.jp/news/20220603063855/