春節の光


どこにでもありそうな風景の中の明かり。民家からもれる明かり。
どこかで見たことがある様な街中の明かりでも、どこででも行われていそうな行事の中の明かりでも、同じように見えてどこかが違う。
土地の風土、気候、街並み、そこで生活する人々が作り出す、土地に根付いた光というものがその土地土地にあるように思う。
光は視覚的な要素だが、私たちの感性は光と同時に音やにおいなども多面的に感じ取っている。
それが光に個性を付与している一因かもしれない。

1月の終わりから2月のはじめにかけて毎年広くアジア一帯で祝われている「春節」。日本では「旧正月」という名で呼ばれることが多いが、明治政府が太陰暦から太陽暦に切り替えたことで一般的にはなくなってしまった風習である。
春節の色といえば赤。日本のチャイナタウンでも赤い春節燈花イルミネーションが並び、2001年からNYのエンパイアステートビルも春節の間赤いライトアップがされるイベントが行われている。
もともとは山から来る鬼を追い払う魔除けの儀式であったことに由来しているといい、花火だけではなく爆竹を使って大きな音を出すのが欧米のニューイヤー花火との違いだ。
初日の出を静かに拝むのとは全く対照的で、閃光・爆音・火薬の匂いが五感を強く刺激する祝祭である。